全国学力テスト、自民党安倍政権で悉皆調査が復活、目的は何か

民主党政権で抽出調査になっていた全国学力テストが、自民党政権下でまた悉皆調査(全校調査)になった。おまけに今回は、従来の国語・算数(数学)のほかに理科が付け加えられた。

子どもたちの学力状況を把握したいなら、抽出調査で十分事足りる。なのに、莫大な税金を使って全小・中学校を対象に行うのはなぜか。学力向上を目的にしているようだが、何のことはない、都道府県間、市町村間、学校間の競争をあおって「学力」向上を図ろうという意図しか見えてこない。

教育は、そもそも競争で成り立つものではない。ゆとりある環境の中で、どの子にも人間的発達を促し、一人一人の人格を形成するのが教育だ。ところが、日本では、受験競争によって、本来の教育がゆがめられ、子どもたちは「過度な競争教育」に巻き込まれている。これに拍車をかけるのが、悉皆調査による全国学力テストではないのか。

自民党政権になって、教育効果のある少人数学級(民主党政権では35人学級)の実施を、財務省は費用対効果に疑問だといって、今年度取りやめた。財務省は、学校現場のことを全く理解していないといってよい。教育効果がある少人数学級をやめて、悉皆による学力テストをやる、こちらの方がよほど費用対効果に疑問がある。

安倍政権になって、いじめ問題を逆手にとり、「教育再生」をさけび、道徳の教科化を目指したり、教育長の権限を強化すると言ったり、学校を週6日制に戻すことを検討したりなどしている。これら一連の教育政策は、先生や保護者の望むことではなく、「教育抑圧」になりかねない。

悉皆調査による学力テスト再開の日に、教育政策を含む経済、外交、憲法などの政策に安倍政権の危険性を感じずにはおれない。